SEGAデザイン塾

「SEGAデザイン塾」
開催レポート


セガゲームスのデザインメンバーが、現役クリエイターとカジュアルに交流する「SEGAデザイン塾」を、2月10日(土)に渋谷道玄坂東急ビル1階で開催しました。今回は、2017年に発売したPlayStation 4用ゲームソフト『龍が如く 極2』と、オンラインゲーム『ファンタシースターオンライン2』のデザインセミナーを行いました。

常に進化をし続けるセガゲームスのクリエイターたちが、どのようにして現実世界のリアルな画像やキャラクターをゲームの世界に落とし込んでいるのか、またオンラインゲーム開発における効率化とクオリティアップをいかにして図っているのかを、プロジェクターを用い、具体的な例を紹介しながら講演を行いました。その後は質疑応答を行い、参加者からは熱い質問が次々と浴びせられました。

また、イベント終了後は、登壇者と参加者が交流する懇親会も開催しました。同じ職業を持つクリエイター同士、話題は尽きることがなく、和やかで充実した会話のひとときとなりました。

第一部デザインセミナー『龍が如く 極2』

『龍が如く 極2』 デザイン統括 三嶽 信明さん
『龍が如く 極2』 デザイン統括 深川 大輔さん

第一部では、PlayStation 4用ゲームソフト『龍が如く 極2』の第1CSスタジオでデザイン統括を担当している三嶽 信明さんと、イベントムービーを統括している深川 大輔さんが登壇し、リアルタイムレンダリングムービーについてセミナーを行いました。

物理ベースでレンダリングを行っている『龍が如く 極2』ですが、そのベースとなっているのが、“マテリアル”と“ライト”です。今回は冒頭でそのマテリアルとライトに関する具体的な説明があり、その後3Dスキャン、フェイスモーション、リップシンクなどについて紹介がありました。

まずマテリアルに関して、デザイン統括の三嶽さんは「『龍が如く 極2』の場合は現代が舞台となっているため、なるべく現実世界からデータを取っています」と説明。金銀銅・金属・非金属などの材質それぞれが持つ反射特性を数値化して、そのデータをもとに映像化しているそうです。

ライトはルクス、カンデラ、ルーメンといった実際の光の単位を用い、実際に現実世界で立看板などの照度を測っておき、ゲーム内の照度もそれに合わせるとのこと。これによってより現実に近いシーンを作ることができます。『龍が如く 極2』には夜の繁華街のシーンなどが登場しており、さまざまな光が交錯する場面の裏には、リアルさを追求するための緻密な計算がなされていることがわかります。

キャラクターのモデルに関しては、『龍が如く 見参!』より3Dスキャンを取り入れ制作しています。『龍が如く6 命の詩。』では、写真ベースのものと、レーザーでの3Dスキャンを併用していましたが、『龍が如く 極2』では、写真ベースのものに統一し、30台ほどのカメラを回して3Dスキャンを行い、より高い精度が確保できるようになりました。これによってクオリティの向上と作業時間の削減が可能になりました。

また、イベント統括の深川さんからは、主に表情や口パクをプログラムで自動生成するイベントシーンについて、説明がありました。唇の動きと音声を連動させる“リップシンク”の手法について、『龍が如く 極2』ではボイスデータから自動でリップシンクを生成し、キャラクターの微妙な表情の揺らぎなども自動生成しているとのこと。そのため、キャラクターの喜怒哀楽を、パソコンの画面上でリアルタイムに表現することができます。

「表情ターゲット設定というエレメントがあり、パーツ単位の動きが登録されています。たとえば右の眉毛を上に上げると、瞼周辺の筋肉も一緒に動く仕組みです。」と、深川さん。自分の好きなタイミングで、好きな表情を作れるのが、表情ターゲット設定の強みとのことでした。

その他にもキーライト+フィルライト+リムライトの3点照明を用いたライティングの手法や、スクリーンエフェクトの手法についても説明がありました。

第二部デザインセミナー『ファンタシースターオンライン2』

『ファンタシースターオンライン2』
UIデザイン統括 佐藤 勝彦さん
『ファンタシースターオンライン2』
エピソード1、2 デザインリーダー 中山 雅晴さん

第二部では、セガゲームスの運営するオンラインゲーム『ファンタシースターオンライン2』のデザインメンバーである、UIデザイン統括の佐藤 勝彦さんが登壇。セクションマネージャーの中山 雅晴さんも出席し、どうのようにしてオンラインゲームの効率化とクオリティアップを図っているかについて、説明がありました。

『ファンタシースターオンライン2』は、2012年7月にサービスを開始して以来、今年で6周年を迎えます。登録者数は450万人を突破し、いまなお進化し続けるオンラインRPGですが、アセット管理はPerforce(通称P4)で行っています。

「3Dツールは3ds maxですが、将来的にはMayaに移行しようとしている最中です。数年ぐらいかけて移行できたらと考えています」と、中山さん。テクスチャーの作成は基本的にフォトショップを使い、部内での連絡手段はメール以外にChatWorkを活用しているとのこと。チャットの特性を活かし、スタッフ同士でコミュニケーションを取りながら作業を進めているそうです。

『ファンタシースターオンライン2』のサービスを始めてから、約1.5ヶ月に一度、PC、PS vita、PS4の3つのプラットフォームのアップデートを行っているとのこと。「それに対応するために、いかに早く、ハイクオリティーなデータを大量生産するかを考え、各パートが効率化を実施しています」と、佐藤さん。

効率化の方法としては、たとえばアイテムチェッカーに関しては、全アイテムを一覧できるインハウスツールを開発しました。名前・ID・価格・フォルダ名など、開発に必要な情報をビューイングするなど、さまざまな点で努力を重ねているようです。他にもキャラや背景、エネミー、UI、エフェクト、カットシーンなど、それぞれの担当がいかに効率よくクオリティの高いものを作れるかを考え、工夫と改善を続けているとのこと。

その後は、PSO2におけるUIデザインに関する話題となり、PSOシリーズの変遷や、PSO2におけるUI思想について紹介がありました。質疑応答では、「DCCツールにMayaを検討しているのはなぜなのか?」といった突っ込んだ質問がいくつも飛び交い、十分な時間を確保したにもかかわらず、すべての人の質問に答えられないほどでした。あらためて現役クリエイターの方々の、スキルアップに対する熱い情熱を感じる、有意義なデザインセミナーでした。

第三部懇親会

第三部では、参加者の方々とゲストスピーカーとの「懇親会」を開催しました。軽食と飲み物が用意されたテーブルでは、セガゲームスの現役クリエイターと熱心に語り合う人、会社の壁を越えて同じクリエイターとして交友を深める人など、終始和気あいあいとした雰囲気が流れていました。

参加者の方からは、「すごく楽しかった。特にキャラクターのフェイスをどうやって表現しているのかがわかったのは、とても参考になった」「ずっと気になっていたことを、質疑応答のコーナーで聞くことができて良かった」「いろいろなセミナーに行っているが、ここまで詳しく教えてくれるセミナーは他にない」など、さまざまな感想が飛び交いました。

逆に、「PSO2の説明を、もう少し聞きたかった」といった要望も聞かれました。参加者のほとんどはゲームクリエイターなので、セガゲームスが実践している手法を、より具体的に知りたいと望む人も数多くおられます。参加者の中には、「自社開発ツールを、ここまで実際に見せてくれるのは普通では有り得ない。大変勉強になった」と、感動を述べる人もいました。

セガゲームスでは、これからもゲーム業界を盛り上げていくため、クリエイターの方々とさまざまな形で交流を図ってまいります。次回もたくさんの方々にご満足いただける企画を考えていきますので、ご興味のある方はぜひご来場ください!

執筆:株式会社イマジカデジタルスケープ/伊藤樹理